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「今後6年間の日本経済は上向いていく」。
人気エコノミストの分析からは、2020年の東京五輪までの道のりに明るさが漂う。すなわち「投資の未来も明るいのだ。」と。しかし、だ。これから6年間の「稼ぐ道」を考える前に、これまでの6年を振り返ることにも意味はあるだろう。どう立ち回れば勝てたのか。そこには今後の投資のヒントがあるはずだ。
先に結論から言うと、振り返りで眺める過去の日本株相場は、まさに「修羅場」と呼ぶにふさわしい展開だった。日経平均株価のチャートを検証してみよう。
07年末の日経平均は1万5307円。13年末が1万6291円だったので、6年間で6%上昇した。水準はさておき、「あれ、もっと苦しんだ気が」と感じないだろうか。それもそのはず。この6年は相場の上げ・下げ局面が極端に偏る、いびつな推移をたどったためだ。
日経平均はサブプライム問題が顕在化しつつあった08年の夏場から下げ始め、同年9月のリーマン・ショックで下落が加速。「銀行規制が強まると(信用収縮で)マーケットは潰れる」の言葉通り、世界同時株安で日経平均は10月の底値(7162円)まで4割もの下げを記録した。
これだけなら反発局面を捉えれば儲かった、という話だが、つらいのはその後。特に大きな反発もないまま東日本大震災、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念に端を発するユーロ危機、その裏で着々と進む歴史的円高と、逆風が吹き荒れ続ける。民主党への政権交代という日本政治史に残るイベントもあったが、「民主党政権時代はボックス圏」と期待外れに終わった。
結局、本格的な上昇局面は12年11月末から始まったアベノミクス相場だけ。最初の5年は下落と横ばいのスパイラルで、最後の1年余りで86%と急上昇したチャートから浮び上がる「笑った投資家」とは「5年間ひたすら耐え忍び、アベノミクスを端緒から拾った強者」だ。
ここから得られる教訓は「苦しくても必死に食らいつけば、いつかは春が来る」となる。
しかし、これではあまりに希望がない。この振り返りはあくまで日経平均という指数に限ったもの。細かい値幅を積み上げたり、M&A(合併・買収)など個別イベントを拾ったり。
この先6年、景気が回復するとしても、相場に波乱はつきもの。苦しい時でも道はある、ということを覚えておくだけでも、精神的な支えになろう。
6年かけて資産を増やす上で核となるのはやはり収入だ。投資信託の積み立てを始めるにせよ、個別株を購入するにせよ、元手となる余裕資金は日々の仕事から生み出される。
それでは日本の労働市場はどのように変わっていくのだろうか。リクルートワークス研究所はまず「バブル入社組の比率が相対的に大きくなり、職場の年齢構成が変わっていく」と指摘する。
労働力人口に占める45~54歳の比率が10年の20.2%から20年には25.4%へと増える。一方で25~34歳は20.0%から16.8%へと減る。大卒だけの職場や、新卒採用を抑制してきた職場ではこの傾向は顕著になる。
働く人の4人に1人以上も存在する世代に対し、企業側も管理職のポジションを用意できない。かといって給与面で報いるのはより難しい。結果的に「部下が1人もいない部長が増えたり、場合によっては部長だらけという会社も出てくる」可能性がある。
それでも働き続けなければ好機は来ない。リクルートでは若手中心の転職市場に今後は40~50代が流れ込んでくると見ており、この世代の転職を「銀たま採用」と名付けた。
ちょうど50年前の東京五輪の頃には空前の人手不足から中卒の社会人が「金の卵」ともてはやされた。40~50代は若さこそないものの「いぶし銀」のスキルやリーダーシップを見せられれば、新しい職場にも溶け込めるはずだ。
給料が伸び悩んでも世帯収入を増やす手がないわけではない。1つが専業主婦の妻に就職してもらうことだ。雇用に関する予測の大半は右肩下がりだが、サービス業など女性比率の高い産業では雇用が増える見通しだ。
逆に男性が7割以上を占めてきた製造業・建設業では落ち込む。こうした業種では今後「グローバル出稼ぎ」が出現すると推察する。新興国ではインフラ投資関連の開発が進むものの、現場作業を指導できる熟練者が少ないからだ。
語学に無縁だった技術者も6年後を見越して勉強を始めるべきかもしれない。
調査は五輪招致の決定前なのでインフラ投資の特需を織り込んでいないが、長期的な傾向は変わらないだろう。管理職社員の数も男性は10年の144万人から20年には127万人へと減るものの、同時期に17万人の女性管理職は20万人へと伸びることで、その差を縮める。世帯収入の維持の鍵を握るのは実は女性なのだ。
もう1つは副業である。正社員比率が少しずつ下がっていくと、複数の職場にを掛け持ちするアルバイトや派遣社員は増える。もともと正社員より、非正社員は副業を持つ比率が高いので当然といえる。「小さい収入(ミニジョブ)をいくつも作って経験を積み、他者との差別化を図る働き方珍しくなくなる。」
投資の王道であるリスク分散は、20年の働き方にも応用できそうだ。
景気循環の観点で捉えると、日本は2020年に向けて明治期以来3番目となる歴史的経済勃興期に入ると考えている。この波は20年以降まで続く大きな波だ。
景気循環は経済活動に観測される周期的な変動で、景気の波と言い換えてもよい。1885年を起点に、GDP(国内総生産)の設備投資比率から短期、中期、長期、超長期という4つの景気の波を導くことができる。
短期の波は企業の在庫循環に起因するもので周期は4・4年。同様に中期は設備投資で9年半、長期は建設投資で25・5年、超長期はインフラ投資で、56・5年という周期が観測できる。
2013~14年は4波が全て上昇するという局面にある。この時期を「ゴールデン・サイクル」と呼んでいる。
15年以降、一旦、短期の波が、続いて18年以降、中期の波も下を向くが、長期・超長期の波は依然、上昇途上にある。長期・超長期の上昇が一致する時期を「ブロンズ・サイクル」と呼ぶが、ゴールデン・サイクルの根底にある力強さの源泉だ。
明治以降では1904~16年、司馬遼太郎の『坂の上の雲』の舞台となった時期と復興から高度成長の時期が該当する。日本経済は2023年前後まで、震災復興、五輪開催などをバネに3度目の歴史的経済勃興を果たす可能性が強い。
景気の中期循環に着目してみよう。戦後の日本経済は4・75年ごとに、景気拡張期が相対的に長い(優勢)時期と短い(劣勢)時期を交互に繰り返してきた。この周期を直近に当てはめると08年~12年の4年間は劣勢期間に相当する。
リーマン・ショックや欧州債務危機があり、加えてプラザ合意以後、最大の円高に見舞われているなど、この期間、経済対策で景気を上向かせるのは難しかった。
アベノミクスの一連の新しい経済政策は13年に始まるが、時同じくして日本経済は拡張優勢期に突入する。景気循環の局面は経済政策の成否を左右する大きな要素で、拡張優勢期は経済政策が効果を発揮しやすい。アベノミクスはまさに時宜を得ていたわけだ。
異次元緩和の効果はこれからが本番だ。市場が要求しているような追加緩和をせずとも、物価は2%上昇を達成し、雇用の不足感は高まり、賃金は上昇するだろう。10%への消費税率の引き上げも予定通り実施される。
そして17年末から18年にかけて、16年からの緩和の出口を探る動きと設備投資サイクルのピークアウトを背景に、景気は一旦調整するとみている。ただ、長期・超長期の上昇は続いている上に、すぐ後に控える五輪への準備が景気を下支えすることになろう。
日経平均株価の直近高値は年末の1万6000円だが、これを上回る可能性は極めて高い。2万円を越えていくことも想定範囲内だ。
規制改革の進展と同時に、議論の高まりを想定しておかなければならない懸案事項も多い。
例えば、20年までに消費税率が15%程度まで上がることも考えられるだろう。
また、米国は長期にわたる大幅な緩和からの転換を模索しているが、過去を見ても経済的な混乱なしに金融緩和を終えた例は少ない。緩和から引き締めに至る過程で、何らかのバブルが形成され、それが崩壊という経済的な振幅が、これからの6年間生じる可能性は十分ある。
投資に際しては、このようなバブル形成から崩壊に至る過程の位置を見極めて、資産分配を機動的に変えていくことが今後6年間の重要な戦略になってくるだろう。
具体的には、日本は円の価値を下げることでインフレを起こそうとしているので、資源を持っている先進国通貨建て資産の比率を高めておくべきだ。
同時に、今後6年間の前半3年程度は国内株式にとっても良い状況が続くはずなので、国内株にリスクオンで投資する。そして雲行きが怪しくなってきたら速やかに安全資産に逃避する。これが得策だろう。
今後6年の景気イメージ
2014年 五輪効果 米金融引き締め・利上げ 生産年齢人口の現象が鈍化
2015年
2016年 日経平均株価 2万円超えも
2017年
2018年
2019年 緩和出口で混乱?
2020年 バブル崩壊の可能性も
懸案事項の議論も 10%超の消費税
財政・社会福祉
雇用・移民導入
目先の国内景気については割りと楽観的に見ている。
景気を後押しする要因として
1.五輪特需
2.米金融政策の変化
3.人口動態の変化
の3つが挙げられる。五輪特需は言うまでもないだろう。公共投資も含めた建設需要が見込まれる。
一方、米国の金融政策は6年間続いた金融緩和から引き締めに向かう転換期にある。
過去を振り返ると、米国が金融緩和から引き締め、そして利上げに至る期間は、円安・株高になりやすい。
これは日本経済にとって追い風だ。
米国が金融緩和をしていた間は、日本で何をやっても駄目だった。これまで米国は6年間も緩和を続けてきたわけで、短くても今後4年間程度は出口から引き締め局面が続くのではないか。
その間、日本経済には追い風が吹く。
2は注視している人こそ少ないが、目先の景気をサポートする要因になると見ている。経済成長率は生産年齢人口の伸びにリンクする。
ここ数年、団塊世代のリタイアで生産年齢人口は速いペースで減少を続けていた。
しかし、今年あたりで退出が一段落、足元で減少率が縮小に転じている。2020年くらいまでの期間を考えると。人口動態の変化が経済成長率の足を引っ張る圧力は弱まる。
日銀のスタンスが「デフレを容認」から、「デフレを絶対に認めない」へと変化したことも大きなプラス要因だ。
デフレ脱却で日本経済が抱える問題が全て解決するわけではないが、社会保障や税制、岩盤規制の改革はデフレからの脱却が前提だ。
債券市場はまだ半信半疑だが、デフレ脱却は可能だと見ているし、軌道に乗れば改革は進みやすくなる。